この原稿は「DevRel Advent Calendar 2017」の16日目の記事です。
昨日は「コミュニティ」、そして「コミュニティデザイン」について考えてみました。 今回は、実際にコミュニティマーケティングを行い、ユーザーコミュニティをサポートするための準備として考えたことをまとめてみます。
- コミュニティの「形」を考える
- プロダクト・サービスのメリット・哲学を整理する
- 「誰と」コミュニティを形作るかを考える
- コミュニティを通じて、参加者が得るメリットを整理する
- コミュニティの理想の状態を具体的に想定する
- 理想的な状態を作るための具体的な方法を考える
コミュニティの「形」を考える
コミュニティを形作り、盛り上げていきたいと考えたとき、誰と形作っていくかは大事なことです。 プロダクト・サービスにあまり関心がない人を集めても、場の活力は生まれにくいでしょうし、継続的に連絡を取り合える仲間として活動できるか、分かりません。
コミュニティプランを考える上で、最初に大事なことは「どんなコミュニティを作り、盛り上げていきたいか」と言えるでしょう。 そのための具体的な方策を幾つか列挙してみます。
プロダクト・サービスのメリット・哲学を整理する
ビジネスプロダクト・サービスのコミュニティを支える場合、まず最初に、プロダクト・サービスのメリット・哲学を整理する必要があります。 極論すると、よほど先進的、独創的でない限り、すべてのビジネスプロダクト・サービスには類似品があります。
プロダクトやサービスを使う人は、いろいろなメリットを考慮して、自分が使うプロダクトやサービスを選びます。しかし、えらぶ側から見れば、より良い・より楽しいユーザーコミュニティが存在するサービスがあれば、選定の重要なポイントとなることでしょう。
誰と、どんなコミュニティを作るかを考えるためには、最初に
- このプロダクト・サービスのメリットは何か
- たくさんある競合と比べて、自分のプロタクト・サービスが提供できる価値は
- どんな思想・哲学のもとに提供しているか
を整理する必要があります。
プロダクト・サービスをえらぶ側からすれば、機能的な大差がない場合、これらのメリット・哲学は「なぜ、選ぶのか」の重要な理由となります。プロダクト・サービスが発する「哲学」に共鳴してくれる方が集まる可能性が高くなります。
この作業は、別な言葉で言うと「プロダクト・サービスのブランドとは何か」と言い換えることもできます。
「誰と」コミュニティを形作るかを考える
プロタクト・サービスのメリット・哲学を整理したら、次は「誰がそのプロタクト・サービスを利用してくれるのか」を考えます。 これはすなわち、コミュニティの想定参加者、と言い換えることができます。
この過程で大事なことは、「金銭的なメリットの大小は一度無視する」ということです。
ビジネス活動においては、取引額・購入額が大きなビジネスパートナーという存在があり、その存在感は企業にとって、無視できません。
一方で、ユーザーコミュニティは、取引額の大小で決まるものではありません。そのプロダクト・サービスに共感してくれているかどうか、の方が大事だったりします。
ビジネス的にメリットの大きなパートナーと、コミュニティを形作るパートナーは、別のものとして整理した方が良いでしょう。
コミュニティを通じて、参加者が得るメリットを整理する
想定参加者を思い描いたら、次は、コミュニティに参加することで得られるメリットを整理します。
参加者はもちろん、プロダクト・サービスを提供するコミュニティサポート側も整理しておく必要があります。
コミュニティを運営・サポートしていると、「コミュニティ活動に参加することがしんどくなってきた」「自分は何のためにコミュニティに参加しているんだっけ」「このコミュニティ活動は、自社のメリットになっているのか」など、運営の迷路に迷い込むことがあります。
主催する側、支える側、参加する側、それぞれのメリットを整理しておくと、コミュニティサポートが壁にぶつかったとき、原点に立ち返って道筋を示してくれます。
コミュニティの理想の状態を具体的に想定する
メリットが整理できたら、実際のコミュニティ運営・コミュニティサポートに入る前に、「コミュミニティに参加する人たちが幸せで、良い状態とは何か」を考えます。「理想の状態」は、出来る限り大風呂敷を広げましょう。参加者みんながハッピーで、参加することで交流の輪が広がり、メリットを享受し、異性にはモテモテで、身長が伸び、彼氏・彼女ができ...などなど。現実できなくてもかまいません。
ここで描いたり想像は、いわば「どんなコミュニティを形作っていくか」の、設計図のような役割を果たします。
できれば、図に書いたり、文章に落としたりして、コミュニティに参加する誰もが共有できるような形にしておくと、尚良いでしょう。
2010年に、日本代表のサッカーチームをベスト16に導いた岡田監督は「目標がすべてを決める」と語り、当時の日本代表のメンバーに「ベスト4を目指す。そのためどうすればよいか」を、選手一人一人に問うていったそうです。ベスト4という目標を掲げることで、チームはどんどんレベルが上っていったといいます。
高い理想を目標とすることで、コミュニティ全体の雰囲気は変わっていくことでしょう。
理想的な状態を作るための具体的な方法を考える
コミュニティの理想の状態を形にしたら、具体的にどのように実現するか、具体的な方法を考えます。 ここで大事なことは「一足飛びに実現しようとしない」ということです。
理想と現実がかけ離れていると、なかなか理想的な状態にならないことで、焦りが生まれるかもしれません。せっかく楽しいコミュニティを作ろうとしているときに、運営者側・サポート側が焦ってイライラしている状態だと、集まってくる人たちも楽しくないことでしょう。
夢は大きく、足元はしっかりとみて、一歩一歩進めていきましょう。