エコシステムの4層モデルと Orbital Model

この記事は「DevRelアドベントカレンダ−2020」22日目の記事です。

自分は2019年に転職し、現在はとあるユニコーン 企業のDevRelとして活動しています。

DevRelの活動を可視化するにあたって、いろいろな図や数値を評価し、社内に共有しています。

今回の記事では

  • 自分が社内資料に使っているエコシステムの4層モデル
  • よく似た概念を見つけた話

について記述します。

コミュニティ・エコシステムの4層モデル

開発者コミュニティを広げるための施策立案のため、いろいろな施策を行なっています。そのためには、「この施策の目的は何か」「どういったペルソナに対して施策を行うのか」を言語化して説明する必要があります。

自分は、開発者コミュニティはおおよそ4層程度のペルソナに分かれると考えています。

それが、以下の図。

four-layer-model.png

このファネルでは、コミュニティ・エコシステムに参加するペルソナを4層に分けて理解しようと試みています。

「参加者・一般開発者」は、サービスに対して何の情報やバイアスもない状態です。サービス・技術を知ることで、自社・自分のビジネスにつなげるため、情報を集めている人、というイメージです。

「フォロワー」は、サービスに対して興味を持ち始めた人たちです。サービスや技術そのものに興味を持ち、より強い関心を持って情報を集め、ネットワークに加わり始めている状態にあります。サービス・技術の勉強会に何度も参加し始めている状態です。

「協力者」は、参加するだけでなく、主体的に情報を発信している状態です。情報を発信する人には、より多くの情報が集まり、ビジネスチャンスが生まれます。情報発信に積極的に力を入れている状態です。

「リーダー」は、コミュニティそのものを牽引するような、強力な推進力を持った人たちです。自発的に勉強会やイベントを企画し、自分のためだけでなく、利他的に振る舞います。その行動は、より多くの人を惹きつけ、サービス・技術・プラットフォームに人を巻き込んでくれます。その結果、サービス・技術が栄え、よりビジネスチャンスが広がり、結果的にリーダーに対するメリットが生まれます。大きな視点で利害を共有している状態と言えます。

開発者のエコシステム・コミュニティを考える場合、裾野をいかに広げてファネル自体を大きくするかが大事になってきます。そして、DevRel担当者は、「この施策は参加者を増やすための施策」「この施策は、フォロワーを増やすための施策」と、明確にターゲットを設定できるようになり、KRの測定がしやすくなります。

自分はこのモデルを使って、どんなエコシステムを作っていきたいかを、社内にネゴシエーションしています。

Orbitモデル

ここからはプラスアルファのお話し。

つい先日、GitHubで同じようなことを書いているレポジトリを見つけました。

The Orbit Model

このモデルでは、惑星の衛星軌道をもとに、エコシステム・コミュニティを4層に分けて捉えようとしていました。DevRel仲間に聞くと、どうやらこのモデルの作者は、欧州のDevRel担当者のようです。

モデル図こそ違いますが、ほぼ同じような概念でコミュニティを捉えようとしていて

「やっていることが同じだと、洋の東西を問わず、同じような思考を辿るんだな」

と、なんだか不思議な感覚を覚えました。

エコシステム・コミュニティに対するアクションモデルは他にもいくつか作成したのですが、これ以上は企業戦略そのものに触れかねないので、今日はここまで。いつか、機会があったらご紹介します。