エウレカセブンAO 第18話 「ドント・ルック・ダウン」感想

アオ、フレア、エレナ達の揺れ動く心情が感じられる回でしたね。今回は、 主要キャラクターである少年少女たちの物語でした。

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個人的なポイントは、以下でした。

  • 逃避するアオ
    • 自分の存在意義を誰かに作ってもらうこと
  • 理屈に満ちた大人たち、思いのままに走り出す少年少女たち
  • 疾走する物語 > 世界の謎解き
  • その他いろいろ

逃避するアオ

母親であるエウレカを取り戻すためには、クォーツ・ガンを使わなければならない。それは、アオの周りにいる人たちの運命を劇的に変わりかねない。そんなアオの苦しみは、誰にも理解されない…。アオは、完全に二律背反の状況に陥り、誰にも助けを求めることができない状況でした。

そんな状況では、思考が止まってしまうのも、極めて自然の流れです。

自分の存在意義を誰かに作ってもらうこと

アオがアメリカ軍に身柄を預けたのは

「どうして良いか分からない自分を、理由はともかく、必要としていたから」

だったからでしょう。アメリカ軍のニキ・タナカは、前回(17話)、アオに対して「連合軍は君を保護する用意がある」と語りかけました。

思考停止状態になったところで、自分の存在を(よこしまな意図とはいえ)必要としてくれる人がいたら、考えを止めて、自分の身を任せてしまってもしょうがないのかな、と。

思えば、前作「交響詩編エウレカセブン」でも同じようなシーンがありました。自分が戦闘で人間を殺していることに気づいたレントンが、自分の行動や存在意義に意味を見いだせなくなってしまい、ゲッコー号を飛び出したエピソードです。状況は違えど、親子揃って同じような道を通っているんだなあ、と思いながら見ていました。

理屈に満ちた大人たちと、思いのままに走りだす少年少女たち

アメリカ軍との対話中、束のように積まれた契約書の山が出てきました。個人的に、あの契約書の山が、なんだか生々しく感じました。理屈と大義名分に満ちた、大人たちの世界を象徴する存在のように思えたのです。何かの行動を起こすにしても、許可と手続きと確認が必要な、大人の世界そのものの象徴というか。

一方で、エレナとフレアは、そんな「理屈」も「大義名分」も関係なく、アオを迎えに行きます。

組織の一員、そして「オトナの判断」で考えると、アメリカ軍に歯向かうのは、合理性がまったくないはず。それでも、自分たちの思いのまま、アオを奪い返しに行く二人。大人の理屈なんか関係ない、自分の「熱」や「思い」に突き動かされるフレアとエレナがとても良いですね。個人的には、13話−14話の、エウレカとアオのシーンと同じぐらい、AOの中で印象に残るシーンでした。

サードエンジン=少年少女たちの疾走の象徴

サードエンジンが、エレナとフレアの喧嘩をきっかけに起動したのも印象的でした。サードエンジンは「子供たちが、大人の理屈を超えて、自分の情熱に身を任せて走りだす」ことのメタファーに見えるんですよね。フレアは、いかにもエリートパイロットで、良い子であろうとしているけれど、内側には誰にも負けない情熱がある。それを引き出したのは、エレナの言葉。

たぶん「サードエンジンがどのような仕組みで、どういう位置づけか」は、あまり重要ではなくて、アオやフレア、エレナといった、主人公たちの情熱が疾走するビジュアル的な象徴なんじゃないかなー、と思います。

このあたりの話は、物語の組み立て=ドラマツルギーの話に深く関連するので、どこかで稿を改めて書きたいな、と考えています。

さて、フレアとエレナの行動によって、ゲネラシオン・ブルは世界を敵に回してしまいます。世界を相手に戦わなければいけない少年少女たちは、何を思って、どんな行動に出るんだろう。ちょっと展開の想像がつきません。来週はどんなストーリーになるのだろう。

疾走する物語 > 世界の謎解き

今回のエピソードは、フレアとエレナが「疾走する」物語だった気がします。個人的に、こういう展開は大好きです。

エウレカセブンの魅力の一つは、作りの大きな物語と、謎に満ちた世界観です。物語が進むに連れて、少しずつ物語世界の謎が明らかにされていくと、ドキドキします。

一方で、緻密な世界設定や理屈を飛び超え、エウレカセブンの登場人物たちが「物語の筋立て」を超えて疾走するシーンは、より大きな魅力です。別な言葉で言うと、「物語の中のキャラクターが、どんどん意思を持って動き始める展開」と言い換えることもできます。ドキドキに加えて、ワクワクがあるといいましょうか。

フレアやエレナがアオを奪い返しに行く時、ゲネブルのスタッフが出撃を許可するなんて、理屈から考えるとありえないわけで、現実的に考えると絶対に静止されるわけです。だけど、今回のエピソードは、フレアやエレナといった登場人物が、どんどん「意思」を持って、「理屈で言うとありえないだろう」という、物語世界の枠組みを超えて疾走し始めているんですよね。

そして、キャラクターの「疾走」が始まったとき、物語は面白くなって行きます。いわば、登場人物の熱量に引っ張られるように、物語全体が大きく動き始める感じ。願わくば、AOの物語が完結するまで、このまま登場人物も、物語も疾走し続けて欲しいです。

そして、今度はフレアやエレナに負けないぐらい、疾走するアオを見たいなあ。

その他いろいろ

ゲネブル社長、ブランの最後の笑顔がとても良い表情でグッと来ました。シチュエーション的には、アメリカを含めて全世界が敵に回った、まるで洒落にならない状況のはずですが。この笑顔の理由が何なのか、知りたいなあ。ブランもどんどん魅力的なキャラクターになっていきますね。

アメリカ軍に属する少女がたびたび画面に現れます(そして、次回19話でも活躍しそうです)。なんとなく、彼女はゴルディロックスにいたマギーのような気がするのですが。
だとすると、来週はマギーがアオたちと敵味方になって戦うということ?

ガゼルが言っていた「俺が仕組んだ」というのは、何をさしているのだろう。ここが今ひとつわかりづらかった。

今回は、なんとなく男性向けのサービスカットが多かった気がしますね。僕はあんまり、アニメのキャラクターには萌えない体質なのですが、ぐっとくる人もいたのでしょうか、やっぱり。

エウレカセブンAOの公式ウェブサイトにキャラクター相関図のページがあります。このページ、実はよく見ると毎週相関図が変わっているんですよね。なんという細かい作業。