Movable Typeに関する議論、「GPLは単なるライセンスに過ぎない、大事なのはコミュニティ」という視点

ネットをブラウズ中、偶然、MovableTypeに関する興味深いブログ記事を見つけました。

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http://www.librarywebchic.net/wordpress/2009/10/15/whats-happened-to-movable-type/

ブログ名は「Library Web Chic」。

記事の大意は

「ウェブアプリケーションに関する記事を著述中、Movable Typeに関しても言及しようと思い、現状を調べた。

MTは、ブログ用ソフトとして始めて世に出たプロダクトだったのに、その後、ライセンスに関するbacklash(反発)を受け、ユーザーの支持を失っていた。

今、『Melody』というプロジェクトが立ち上がっている。私の好奇心はピークに達した。いったい、MTに何が起こっているのだろう」

といったものでした。

このブログの著者は、カレンさん。カレンさんは、ヒューストン大学の司書と書かれていますが、良く調べると、オープンソースCMSアワードの審査員も勤めています

http://www.packtpub.com/overall-open-source-cms-award-judges

カレンさんの活動を見ると、数々の著述も行っており、おそらくブロガーとして著名な方なのだと思われます。また、CMSやブログソフト、ブログそのものにも相当な知見をお持ちであることが想像できます。

このブログ記事には、MovableType.orgのフォーラムで顔写真を見かける人たちが、様々なコメントを書いています。それぞれ、MTに関する思いや考えが伝わってきて、見るだけで非常に面白い議論なのですが、なんとMTの前プロダクトマネージャーを務めたByrne Reeseさんもコメントを寄せています。

Bryneさんは、現在「OpenMelody」という、オープンソースプロジェクトのリーダーを務めている方なのですが、自分の出自を明かした上で、こんなことを書いています。

Many people think that by virtue of making something open source, you will cultivate a community around it. The truth is that GPL is just a license. It doesn't do anything by itself to encourage or assist in expanding and building a community.


「人々は、ソフトをオープンソースにすることによって、コミュニティが発展していくと考えがちだが、それは違う。GPLは単なるライセンスに過ぎないのだ。ライセンスをオープンソースにしたからといって、コミュニティが自然に発達することはない」

Byrneさんのコメントには、他にも刺激的な言葉が並んでいるのですが、文面からはByrneさんのエネルギーや、情熱がほとばしって見えるのが感じ取れます。

そしてこの言葉にはとても共感できるものがあります。

Idea*Ideaによると、今年(2009年)に行われたWordCamp Tokyo 2009で、WordPressの開発者、Mattはこう語ったそうです。

「今は技術的にはなんでもできる。WordPressの技術なんか誰でもコピーできるだろう。でもコミュニティはコピーできない。だからコミュニティを維持するために何ができるか考える。そういう意味ではデザインやユーザビリティはとても大事だ。いつもそのことについて考えている。」

僕が普段、カウンターパートナーになっているmodxのファウンダー、ライアンも、ことあるごとに「オープンソースにとって、大事なのはコミュニティ」と語っています。

これらは、CMS、オープンソースに携わる人間が感じる、心からの言葉なのでしょう。

「コミュニティが大事」なのは、別にオープンソースに限った話ではない、と僕は思います。

インターネット上で培われる、様々なプロジェクト、サークル、勉強会、そのほかあらゆるグループはある種の「コミュニティ」と言えます。コミュニティが発展しないプロジェクトに、広がりはないといってよいでしょう。

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ところで、ここでMovableTypeとシックスアパートを擁護すると、決して「何もしなかった」わけではないと思います。

もともと、アメリカのシックスアパートには、ユーザーコミュニティとしての「掲示板」が2系統ありました。ひとつはMovableType.org、もうひとつはシックスアパートドメインで開設していたフォーラムです。

この両者のうち、シックスアパートドメインのフォーラムのほうは、お世辞にも使い勝手も、コミュニケーションも良いものではありませんでした。phpBBをカスタマイズして設置した感じの掲示板ですが、質問者が質問や意見を投稿しても、反応がほとんどない状態がしばらく続いておりました。僕も投稿したり、掲示板運営者宛にメールや質問を送ったのですが、なしのつぶてだったことを覚えています。

(単にひどい英語だったから、というのも大きな理由ですが・・・)

2009年に入ってから、これらの掲示板は、MovableType.orgに統一されました。そして、MovableType.orgのフォーラムは、以前に比べて活性化しています。書き込みの頻度も、2009年になってからどんどん上がり、コミュニティのエコシステムが動き始めている様子が見て取れます。

同様に、日本のコミュニティ掲示板であるMTQも、MT5限定ながら、少しづつ動き始めています。

これからのMT(そしてMTに限らず、インターネット上の種々様々なプロジェクト)を成功に導くのは、やっぱりコミュニティの存在なんだ・・・と断言して良いでしょう。