Movable Type5の発表に関する私的感想

Movable Type 5(MT5)がいよいよ発表されました

mt5

既にTwitterブログなどで、様々な感想が述べられているようです。
肯定的、否定的な意見、様々のようですね。

僕の感想は

  • MT5が製品コンセプトを「CMS」に絞ってきたのはウェルカム、というかビジネス判断として最適解だと思う。
  • MT5は、CMS市場のシェアを再び広げるのではないか
  • 既存のブロガー、MT=ブログと見てきた人たちへのメッセージやケア戦略が今後重要

です。 総じて「シックスアパートすげー」というのが正直な感想でした。

■ 製品戦略の最重要課題は「そのプロダクトはどんな哲学を持っているか」だと思う

ブログやTwitterなどを見ていると、機能面や価格の上昇などについての話題が比較的多いようです。

機能面の強化は勿論嬉しいのですが、個人的には、「MT5はブログ、CMS、どちらを目指すか」という点に、より個人的な興味を惹かれました。 

CSS Nite LP, Disk 6「CMSリベンジ編」でも感じたのですが、世に出て一定の評価を受けているプロダクトは、それぞれ切磋琢磨をし合っているので、正直細かい機能の優劣だけでは差をつけづらいです。

そうなると、最終的にプロダクトが評価を受けるのは

「そのプロダクトの哲学は何か」
「どこを目指し、どんなユーザーに使ってもらいたいと思っているか。別な言葉で言うと『戦略』は何か」

というような、プロダクトメッセージが、最終的な機能差につながったり、ユーザーの支持につながったりするのだと強く感じました。

その製品がどのような思想・哲学を持って、どのようなメッセージを発して、どのようなユーザーに使ってもらいたいかが明確になればなるほど、最終的な機能差、使用感に結実していくのです。

まさに「神は細部に宿る」の世界だと思います。

 

■ 今回の発表でもっとも重要なメッセージは「MT5はCMSを志向する」と言い切ったことだ

僕は記者発表の場にはいなかったのですが、取材記事や速報を見ている限り、一番注目すべきなのは

「製品コンセプトのエッジを、ウェブCMSとして際立たせようとしている」

ことだと思いました。

ニュース記事を見ていると

  1. ウェブCMSへポイントを絞った製品コンセプト、構造設計
  2. 「何でもできる」から「誰でもできる」へ
  3. カスタムフィールド含めて、テンプレートセットを「テーマ」として作成可能

という3点が目に付きます。

実際にβ版を触ってみないとなんともいえないのですが、以下、憶測も含めて書いてみます。

1・ウェブCMSへポイントを絞った製品コンセプト、構造設計

機能マトリクスのように○×で表しづらい部分なのですが、ここがまさに「MT5のもっとも大きな特徴」になるのではないかと思います。

MTの製品サイトにおける説明を見ていると

「ウェブサイト運営の『テーマ(目的)』を最短距離で実現するソーシャル・パブリッシング・プラットフォームとして進化します」 

と書かれているため、従来よりも「ウェブサイト管理」システムとして機能しそうな感じです。

MODxなどの純粋なウェブCMSを触ると、やっぱりMTは「ブログシステム」であり、通常のウェブサイト管理には根本的な構造でストレスを感じることが良くあったので、ここは期待。

言葉できくと「なに、それ?」な世界だと思うのですが、使い込むときに結構「効いて」くるのではないかと思います。作りこみやすいとか、管理しやすいとか、そういった恩恵がありそうな気がする。


2・「何でもできる」から「誰でもできる」へ

従来のMTは「MTタグでなんでもできる」ようになっていたけど、「MTタグを覚えてプログラム的に使えないと使いづらい」というのが事実としてあったと思います。

現在、MTタグだけで相当なことができて(プログラム的なロジック作成から管理画面の変更まで)、それはそれで非常に理にかなっていると思うのですが、もう少しユーザーフレンドリーにならないと始めて触る人はきついよ、というのが正直な感想でした。

記者発表のレポートを見ると、ここを意識されているようなので楽しみです。


3・カスタムフィールド含めて、テンプレートセットを「テーマ」として作成可能

想像の域を出ないのですが、使いこなすと、例えば

「マッチングサイト向けのテンプレートセットをカスタムフィールドで作りこんだシステムと一体化して配布可能」

になり、デザイン会社さんが「オリジナルテンプレート+システムで販売」など、商売のねたになりそうな気がします。


■ 今後の戦略

それでは、今後のSAの戦略、注意すべき点はどこでしょう。

やっぱり、従来の「ブログ」としてのMTユーザーと「CMS」としてのMTユーザーのつなぎとめ、住み分けがポイントになると思われます。

今回のMT5は、マーケティングメッセージとして従来以上に「ウェブCMS」を前面に謡っているので、昔からブログとしてのMTになじんでいる人にどう映っているか、興味あります。

既にブログという媒体自体は「プロバイダや専門業者が、無料で提供してくれるプラットフォーム」になっているため、「ブロガー向けにブログ作成パッケージを単品パッケージで販売すること」にビジネスリソースを割く必要はあまり無い気がします。

ただし、シックス・アパートとMTの興隆を支えてきたのは、間違いなく「ブログとしてのMTを支持してきたユーザーコミュニティ」にあるはずなので、こういった人たちに対してどんなメッセージを発するのか、個人的には注目しています。

もっとも、シックスアパートには、アルファブロガーとそれに連なる人材が綺羅星のように存在するので、あまり心配する必要は無いのかもしれません。

いずれにしても、ダイナミックに自社の根幹プロダクトの方向性を変えることのできるシックスアパートという企業は、まだまだ底知れないパワーがあるなぁ、と感じました。冒頭に書いた、「シックスアパートすげー」の理由です。

後は、実際のMT5が、発表どおりのポテンシャルを備えているかどうか、注目して待ちたいと思います。