SOY CMS、PowerCMS for MT・・・どんどんレベルがあがる国産CMSパッケージ

私事で恐縮ですが、5,6年ほど前にインターネットのシステム会社に在籍したことがあります。その会社は、100%オリジナルの国産CMSをパッケージ化して、法人向けにソリューション販売を行っておりました。

「CMS」という言葉は誰も知らない頃です。Googleで検索しても、日本語ページの検索結果が千数百件しかなかったことを良くおぼえています。

当時は、アメリカの動向を見て、あえて「CMS」という名前を使って営業展開を行いました。CMS以外にも、CRM、サポートシステムなどを組み合わせたスイートパッケージのようなラインアップでした。競合も「インターウォーブン」「ドキュメンタム」とか、Sierがかつぐようなエンタープライズパッケージで、価格も数百万円していました。

おかげさまで、そのCMSは、分不相応にも様々な企業様に導入いただきました。しかし、当時の会社はCMSから別の事業へ軸足を移すことになり、ほぼ同時期に僕も退職しました。

あれから数年が経ち、いまやウェブサイトの制作には、CMSは欠かせません。インプレスのインターネット白書では、相変わらず「Movable Type」がシェアを確保して、その強さを見せていますが、どっこい国産のCMSも沢山出ています。

最近、そんな国産CMSとして「SOY CMS」「PowerCMS for MT」に触る機会を得ることができました。「SOY CMS」のほうは、渋谷で行われた勉強会。「PowerCMS」のほうは、実際の案件で使用してみました。

「SOY CMS」は、京都のベンチャー会社、株式会社日本情報化農業研究所さんが開発しているオープンソースCMSです。

純国産のCMSはいくつかありますが、オープンソースというのは意外に存在しません。古くはPerlベースの「Sledge」「Tempura」などがありましたが、最近の便利なCMSはほとんどアメリカかヨーロッパ産で、日本製のCMSは、企業が開発した商業パッケージがほとんどです。

SOY CMSの大きな特徴は「エンドユーザー目線で開発したい」という姿勢が思いっきり前面に出ているところです。一度作成したコードを変えずに、ユーザー側から使用感を変えるような工夫がしてあって、他のオープンソースCMSにはない独自の機能を実装しています。

ちょっとインストールが難しいのが難かなーと思いました。けれども、現在多くの人間に利用されているMTも、最初の頃はコマンドラインからインストール作業する必要があって、結構インストールが難しかった時期があったことを考えると、今後インストール環境が整うことによって、SOY CMSの利用者がどんどん増えそうな気がします。

 

一方、PowerCMSは、アルファサードさんによる、MovableTypeの拡張パッケージです。

僕は、普段の仕事は(会社の方針で)100%MTなので、MTの便利さは十分承知しています。

ですが、元々の出自がブログシステムだからか、「ロジックを作れば何でもできる」けれど、ウェブCMSとしてみると「なんでこんなことができないんだろう」と思うことが多く、結構MTにストレスを感じることがあります。

例えば、パンくずリスト。MTの場合、それなりにカテゴリやタグの構造を知らないと、人によっては1時間も2時間もかかります。一方、純粋なウェブCMSを志向する「MODx」なんかは、専用の機能があるので、設置すればものの2,3分もあればできてしまいます。

例えば、記事の並べ替え。MTは元々ブログなので、記事の並び順は基本的に「時系列」がベースになっています。プラグインを利用したり、記事タイトルに数字を入れたりすると、並び替えはできなくはありませんが、「そもそもCMSとみると、どうなのよ」と思うことがあります。これも、例えばMODxの場合、ドラッグアンドドロップで記事の並び替えができるようになっています。他のウェブCMSも同様でしょう。

で、PowerCMSはそういう「MTがCMSとして弱い部分」をカバーするプラグイン集として発売されているため、これでもかというぐらい、便利な機能がいっぱい。あるロジックを考え、実装するのに1,2日かかっていたものが、ものの1,2時間で実装できたりして、便利なことこの上ない。

お値段が20万円以上するので、導入案件の規模を選ぶと思いますが、コストパフォーマンスはかなり高いです。中~大規模案件だったら、エンタープライズCMSと互角に戦えるでしょう。あえていうと、MTマニアの視線で作られたプラグイン集のため、最初に使う人は結構戸惑うかもしれません。(マニュアルも、MTを良く知っている人向けのつくりになっている気がします。)


ともあれ、国産のCMSもどんどんレベルが上がり、種類も増えています。数年前の、数百万円していたエンタープライズな機能は、いまや数十万円~オープンソースになりつつある、ともいえます。

インターネットの世界は、数年立つと本当に景色が変わります。

CMSでいえば、数年前は圧倒的に「Xoops」が著名で、一時期ネット技術者の間では「CMS=Xoops」みたいなイメージの時期がありました。

それが、数年の間に様変わりして、今ではCMS=MT、と考える人のほうが多いのではないでしょうか。

これも数年後はどうなっているか分かりません。そして、日本発のCMSが、世界的に著名になり、ユーザー数を獲得する日もそう遠くないのかもしれません。