■ 物語欲とは
僕は第三舞台と鴻上尚史さんが大好きです。
本棚には、鴻上さんの戯曲やエッセイがずらっと並んでいます。
今でも時折読み返しては、ほとんど古びていない内容に驚くことがあります。
鴻上さんがかつて書いた中で、今でも忘れられない文章あります。
詳細な文面は忘れてしまいましたが、ダイエットに没頭するあまり、誤って死んでしまった女性を取り上げたものでした。そこには、こんなことが書かれていました。
「ある女性が、ダイエットに没頭するあまり、栄養失調で死んでしまった。
人間の三大欲求は睡眠欲、食欲、性欲といわれているが、彼女は食欲よりも、ダイエットを優先させたのだ。
人間は本来、生存本能を持っていると言われるが、それではなぜ彼女がダイエットで死んでしまったのか、説明ができない。
おそらく彼女は、ダイエットが進むたび
『あと○kgやせたら、理想の自分になれる』
『あと○kgやせたら、きっと世界は変わる』
と、理想の自分を思い描きながら、死んだに違いない。
彼女が求める『理想の自分』への欲求が、人間の本能を凌駕してしまったのだ。
僕はこれを『物語欲』と名づけたい。
そして、人間は、どうしようもないほど、自分自身の『物語』を求める生き物である」
20年前の記憶なので、多少、僕自身の文章が混じっていますが、概ねこのような内容でした。ダイエットによる死亡は、過去の話ではなく、現在でも多数存在します。
■ 「勝間和代」という物語マーケティング
この「物語欲」を刺激することで、ベストセラーにつなげたのが、勝間和代さんです。

