Google Font APIは出版業界にとって脅威か、最大のチャンスか
なんとなく取り上げるタイミングを逸しましたが、「Google Font API」、すごいですね。もう皆さん試されたでしょうか。
このGoogle Font APIというサービスを、改めておさらいすると
- Googleが提供するフリーのフォントサービス
- スタイルシートの指定だけで、Googleが用意しているフォントを自由自在に利用可能
- ブラウザによってレンダリングが違うが、基本はフォントデータをダウンロード後ブラウザ上でフォントを再現
- 当面アルファベット中心に提供、日本語のフォントサービス提供は未定
となっております。
Googleのウェブサイトにはすでに10数個のフォントデータが公開されていますが、今後増加していくことは間違いありません。
さて、このフォントAPIですが、ブラウザによる表現力を飛躍的に高めます。
個人的には、このようなオンラインフォントサービスが、
「既存の出版業界にどのようなインパクトがあるか」
というところに、とても興味があります。
雑誌のデザインをウェブ上で再現しようとすると、実はかなり難しいことが分かります。
理由は、
「雑誌が持つ高度なエディトリアルデザインを、ウェブ上で再現するのが技術的に難しいから」
であり、さらに
「雑誌並みのエディトリアルデザインをウェブ上で再現しようとすると、コスト高になってしょうがない」
からでもあります。
エディトリアルデザインとは何でしょう?Wikipediaでは
「新聞・雑誌・書籍などの出版物のデザイン。読み手の視線、意図を考えて視覚的に効果的に写真や高度論理デザイン図等を整理・配列・編集あるいは計画すること。紙面構成。」
と定義付けられております。
新聞や雑誌のエディトリアルデザインは、紙の分野では、かなり完成されていて、ウェブで同様のデザインを再現しようとするとものすごく手間がかかります。
逆に言うと、ウェブメディア(特に情報誌的なメディア)と出版メディアの優位点の違いは、今は限りなく「エディトリアルデザインの有無」に絞られるといっても過言ではないと思われます。
たとえばYahoo!Japanでも、出版業界で言う「雑誌」の体裁をとった情報ページが存在しますが、
- Yahoo!ファッションの「ウェブマガジン」では、Flashによるデザインの再現が中心で、あくまで雑誌のデザインをFlashの枠組みで再現してるだけになっている
- 月刊チャージャーは、どちらかというとブログメディアに近く、エディトリアルデザインとしてはとがったところがない
など、純粋に「ウェブ上で、既存のエディトリアルデザインに近い」ページ構成は、Yahooをもってしてさえ、まだ実現できていません。
別に雑誌デザインそのままをウェブで表現しなくても良いのですが、ウェブ上で雑誌並みのデザイン、あるいはウェブのコンテキストに沿いつつ、雑誌にも負けないような綺麗なデザイン、というのはかなり大変です。
この分野では「ハニカム」さんが、かなり気を吐いてがんばっていますが、おそらく更新・運用の現場はかなり手間がかかっているはずで、相当に四苦八苦されているのではないかな、と想像しています。
エディトリアルデザインの世界では、デザイン性の高いフォントの使いこなしが、非常に高い位置を占めます。
これが、オンラインで、スタイルシートによって雑誌並みに各種のフォントを使えるようになれば、ブログやCMSのような仕組みで柔軟にフォントデザインの組み換えができるようになり、ウェブ上のデザインレベルが「ぐっと」あがっていくのではないか、と思われます。
現在、ウェブ上で主流となっている「雑誌的なるメディア」は、いわゆる「ブログメディア」が中心です。面白く、速報性があるウェブメディア=ブログメディアがかなりのシェアを占めています。
今後、オンラインでのフォント利用がどんどん加速するにつれて、既存の出版社がそのノウハウをオンラインに持っていく=ネット媒体に遅れをとっていた分野で、「エディトリアルデザイン」を武器に巻き返しを図るか、
あるいは、既存のブログメディア、ウェブメディアが、いち早くオンラインのエディトリアルデザインの雛形を作り、この分野でも既存の出版、雑誌媒体の先人たちを圧倒していくか、非常に興味があります。
逆にいうと、エディトリアルデザインの分野でも、もし出版業界の人たちが後れを取ったとしたら、いよいよ出版業界の未来は危うい、と言える気がします。

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