「情報力」に見る、実践的な情報処理論
12月の読書まとめでも書きましたが、先月は望外に「情報の収集、整理」についていろいろな発見がある読書ができました。
その中でも、2009年最後に読んだ、「情報力」が非常に刺激的だったので、ご紹介します。
「外務省のラスプーチン」の異名で一躍有名になってしまった、元外務省職員の佐藤優さんと、毎日新聞の北朝鮮ウォッチャーの鈴木琢磨さんによる対談本です。
全四章から構成されており、第三章までは「北朝鮮の現状について、情報のプロが語る」といった内容であり、第四章がタイトルにもなっている「情報の収集、整理方法について」の対話となっています。
第三章まで読んだときには「これ、『情報力』と書いておきながら、北朝鮮本じゃないの?」と思ったのですが、北朝鮮談義をベースに、第四章で一気に情報処理の実践論に入ります。
国際情勢ウオッチのプロ2人が、散々北朝鮮を軸とした国際情勢を語った上で
「で、これらの情報を収集する方法論を、ビジネスマン向けに噛み砕くとこんな感じになります」
といった展開になっています。
この展開が圧倒的で、異様な迫力と説得力を持って迫ってきます。
いろいろと面白い提言があり、どれも捨てがたいのですが、例えばこんな感じです。
- 本当に必要な人脈は、じつは5-6人程度しかいない
- ビジネスパーソンは、1年に50冊以上の本は読めない
- 外国語はネイティブより日本語講師に習え
- 語学の習得に大事な順番は 「読む→聞く→書く→話す」の順番だ
- 名刺のデータベースほど無意味なことはない
- 記憶できない情報は、不必要な情報である
などなど。
いずれも、普通の人間が考える常識とはまったく逆の発想に聞こえるのですが、情報の最前線で戦う両者が、論理だてて説明をしており、思わず頷いてしまう説得力を持っているのです。
ところで、こういった2人の話者の会話を録音してテープ起こしを行い、一冊の書籍にする手法は昔から良くあり、出版業界では「対談本」と呼ばれています。
この手の対談本は、
・編集者によるマッチメイク(いかに、対話者同士が「科学反応」を起こす組み合わせを実現するか)
・対談のコンセプトメイキング(いかに、読者の興味を掘り起こせるテーマを設定するか)
の2点がすべてと言えます。
そして、世に出る多くの対談本は「とりあえず有名人同士で話して見ました」的なお手軽対談が多く、読み応えがないものが結構あります。
こ の本はびっくりするぐらいの重量級の仕上がりとなっています。佐藤優さんの対談本としては、元NHK支局長の手嶋龍一さんとの対談本「インテリジェンス 武器なき戦争」という本が比較的著名ですが、この「情報力」は「インテリジェンス 武器なき戦争」よりも、対談のコンセプトが絞られている分、情報の濃度が高く、読み応えがあります。
北朝鮮論から一気に「情報論」に持っていく様は正直「強引な展開だなー」とは思うのですが、そういう細かい突込みを超えたところで納得させられてしまうぐらいの「濃さ」でした。


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