2009年1月14日 22:48

MTはソーシャルの夢を見るのか

最近改めて「ソーシャル」というキーワードと、日本国内のMTユーザーの動向について、気になり始めています。

僕はMTに限らず「CMS」というキーワードを、現在~ここ数年における自分の「軸」にしようと思っています。

CMSについて考えるとき、日本においてはどうしても、シェアが高い「Movable Type」についての考察を外せません。

そこで数回に分けて、自分の考えをまとめる意味で

「MTがおかれた立ち位置と目指す方角」

「ソーシャルというキーワード」

「MT⇔WP」の移行について

などを書いてみたいと思います。

 

シックスアパートのサービス領域

MTは言うまでもなく、シックスアパートという会社が開発したソフトウェアです。

日本においてはシックスアパート=MT、というイメージが非常に強いですが、決してMTだけを開発しているわけではありません。
ASP型サービスの「Typepad」、ブログソーシャルサービス「VOX」、ブログメディアの「Blogs.com」などがあります。日本国内では「ブルーレイアパート」というブログメディアも運営しています。

以下は、2009年1月時点でのシックスアパートのポートフォリオをまとめてみたものです。

シックスアパートのサービス図式

図の左にいくほどシステム色・ソリューション色が強く、右側に行くほどサービス色・マーケティング色が強いサービスです。

これらのサービス群に共通するのは、いずれも中心に「MT」が位置しており、このMTの技術、ノウハウから派生している事業領域だ、ということです。逆に言うと、MTはシックスアパート内で

  • R&D(Research&Development、研究開発)のコア的位置づけである
  • MTで培われた技術から、他のサービス領域へ技術的なフィードバックがおこなれている
  • MT自体「MTOS」と「プロフェッショナルパック」という2系統があり、相互にマーケティング活動とR&D活動が連携している

という位置づけにあるのでしょう。

次に、それぞれのサービスがどのような価値を持ち、どのように対価(事業収益)を得ているかをまとめてみました。

シックスアパートのサービスマトリクス

VOXは、利用規約に明確に「広告表示を隠さないこと」と言っているため、広告収益は見込んでいるのでしょう。他、マーケティング的な属性調査もやっているかもしれません(そこまで手が回っていないかもしれません)

「MTの開発」だけを行っていれば、純粋なソフトウェア会社ですが、シックスアパートは「ブログ」から派生する各領域を事業エリアとしていることが分かります。

さて、日本国内では「ブログ=MT」のイメージがしばらく続きました。そして、今は「ブログ」というキーワードを「CMS」に置き換えて、営業およびマーケティング展開を図っています。

ここから見えてくることは

「シックスアパートは、MTをCMSとして捕らえており、ソリューションシステムとして展開しているのだ」

ということです。少なくとも、ブログシステムとしての「MT」のイメージを徐々に変えていっていることが分かります。

キーワードを変えている、イコール、商品特性を「CMSに絞っている」ともいえます。

今のインターネット環境では、ニフティやソネット、あるいはGooやFC2やアメブロまで、ISPから広告系の会社まで無料のブログサービスを提供しています。

普通に考えて、一般のユーザーが

  • 5万円というお金を出して
  • 苦労してテンプレートのセッティングをして
  • 自分でサーバーを借りて、DB設定をして

ブログをはじめるとはとても思えません。つまり、ブログのフィールドでビジネスにしようとしたとき、パッケージの単発売りはナンセンスなのです。これらISPなどのブログサービスとの競合は、むしろVOXになります。

ですから、日本法人がMT=CMSというキーワードでマーケティング展開を図っていくのは非常に自然流れです。

米国法人と日本法人のスタンスは違っていないか?

ところが、アメリカでリリースされているMT4.xのRC版、あるいは将来的なロードマップなどを伝え聞くに、日本の考えるビジネス展開とアメリカのリリースする本家パッケージには差異があります。すなわち

などなど。本当に「CMSとしてのMT」を売りたいのなら、そしてそれが収益の柱だとしたら、人材をよりMTに投下して機能強化を図ると共に、日米ともにCMSとしてのパッケージマーケティングを行うはずです。

ところが、アメリカのMTはどちらかというと「CMSもやるし、ブログ機能もソーシャル機能もMTでカバーしていく」ように見えてしょうがない。

ここから見えるのは

「CMSとして売りたい日本法人と、ブログを軸にした各種領域をカバーするコアシステムとして考える米国法人との違い」

というべきものでもあり、米国法人と日本法人で、営業展開案と製品サービスのマッピングが違っていないか?ということです。

日本法人がCMSとしてのMTを前面に押し出しているのは間違いなく「売れているから」であり「ビジネスの柱」だからでしょう。

ですが、コアシステムのMTは純然たるCMSには行っていないため、サードパーティのプラグインソリューション頼みなところがある。

これを「サードパーティとの協業体制、生態系が良くできている」と見ることもできますし「各国のマーケティング戦略の違いによりこうなってしまった」と見ることもできるでしょう。

ですが、米国法人の動きを見ていると、どうしても「ブログのソーシャル化を追っていって、競争力を保つ」方向を向いていて、そのコアシステムとしてのMT、という位置づけに見えてしまうのです。

じゃあ、その「ソーシャルメディア」ってなによ、という話になるのですが、これはまた次回以降に。

※上記の記事は個人の推測に基づく、床屋談義の域を出ないものです。シックスアパートには何の関係もありません。