最近改めて「ソーシャル」というキーワードと、日本国内のMTユーザーの動向について、気になり始めています。
僕はMTに限らず「CMS」というキーワードを、現在~ここ数年における自分の「軸」にしようと思っています。
CMSについて考えるとき、日本においてはどうしても、シェアが高い「Movable Type」についての考察を外せません。
そこで数回に分けて、自分の考えをまとめる意味で
「MTがおかれた立ち位置と目指す方角」
「ソーシャルというキーワード」
「MT⇔WP」の移行について
などを書いてみたいと思います。
シックスアパートのサービス領域
MTは言うまでもなく、シックスアパートという会社が開発したソフトウェアです。
日本においてはシックスアパート=MT、というイメージが非常に強いですが、決してMTだけを開発しているわけではありません。
ASP型サービスの「Typepad」、ブログソーシャルサービス「VOX」、ブログメディアの「Blogs.com」などがあります。日本国内では「ブルーレイアパート」というブログメディアも運営しています。
以下は、2009年1月時点でのシックスアパートのポートフォリオをまとめてみたものです。
図の左にいくほどシステム色・ソリューション色が強く、右側に行くほどサービス色・マーケティング色が強いサービスです。
これらのサービス群に共通するのは、いずれも中心に「MT」が位置しており、このMTの技術、ノウハウから派生している事業領域だ、ということです。逆に言うと、MTはシックスアパート内で
- R&D(Research&Development、研究開発)のコア的位置づけである
- MTで培われた技術から、他のサービス領域へ技術的なフィードバックがおこなれている
- MT自体「MTOS」と「プロフェッショナルパック」という2系統があり、相互にマーケティング活動とR&D活動が連携している
という位置づけにあるのでしょう。
次に、それぞれのサービスがどのような価値を持ち、どのように対価(事業収益)を得ているかをまとめてみました。
VOXは、利用規約に明確に「広告表示を隠さないこと」と言っているため、広告収益は見込んでいるのでしょう。他、マーケティング的な属性調査もやっているかもしれません(そこまで手が回っていないかもしれません)
「MTの開発」だけを行っていれば、純粋なソフトウェア会社ですが、シックスアパートは「ブログ」から派生する各領域を事業エリアとしていることが分かります。
さて、日本国内では「ブログ=MT」のイメージがしばらく続きました。そして、今は「ブログ」というキーワードを「CMS」に置き換えて、営業およびマーケティング展開を図っています。
ここから見えてくることは
「シックスアパートは、MTをCMSとして捕らえており、ソリューションシステムとして展開しているのだ」
ということです。少なくとも、ブログシステムとしての「MT」のイメージを徐々に変えていっていることが分かります。
キーワードを変えている、イコール、商品特性を「CMSに絞っている」ともいえます。
今のインターネット環境では、ニフティやソネット、あるいはGooやFC2やアメブロまで、ISPから広告系の会社まで無料のブログサービスを提供しています。
普通に考えて、一般のユーザーが
- 5万円というお金を出して
- 苦労してテンプレートのセッティングをして
- 自分でサーバーを借りて、DB設定をして
ブログをはじめるとはとても思えません。つまり、ブログのフィールドでビジネスにしようとしたとき、パッケージの単発売りはナンセンスなのです。これらISPなどのブログサービスとの競合は、むしろVOXになります。
ですから、日本法人がMT=CMSというキーワードでマーケティング展開を図っていくのは非常に自然流れです。
米国法人と日本法人のスタンスは違っていないか?
ところが、アメリカでリリースされているMT4.xのRC版、あるいは将来的なロードマップなどを伝え聞くに、日本の考えるビジネス展開とアメリカのリリースする本家パッケージには差異があります。すなわち
- MT=CMSとしていくなら、なぜCMS的な機能を強化しないのか
- MTの次期バージョン(4.23の次)は「ライフログ」の考え方をベースにしたソーシャルネットワーク機能の補完バージョンに見える
- アメリカのシックスアパートサイトでは「MTエンタープライズ版」の紹介こそ出ているが、日本と違い「CMSに使えるMT」という押し出し方はまったくされていない
などなど。本当に「CMSとしてのMT」を売りたいのなら、そしてそれが収益の柱だとしたら、人材をよりMTに投下して機能強化を図ると共に、日米ともにCMSとしてのパッケージマーケティングを行うはずです。
ところが、アメリカのMTはどちらかというと「CMSもやるし、ブログ機能もソーシャル機能もMTでカバーしていく」ように見えてしょうがない。
ここから見えるのは
「CMSとして売りたい日本法人と、ブログを軸にした各種領域をカバーするコアシステムとして考える米国法人との違い」
というべきものでもあり、米国法人と日本法人で、営業展開案と製品サービスのマッピングが違っていないか?ということです。
日本法人がCMSとしてのMTを前面に押し出しているのは間違いなく「売れているから」であり「ビジネスの柱」だからでしょう。
ですが、コアシステムのMTは純然たるCMSには行っていないため、サードパーティのプラグインソリューション頼みなところがある。
これを「サードパーティとの協業体制、生態系が良くできている」と見ることもできますし「各国のマーケティング戦略の違いによりこうなってしまった」と見ることもできるでしょう。
ですが、米国法人の動きを見ていると、どうしても「ブログのソーシャル化を追っていって、競争力を保つ」方向を向いていて、そのコアシステムとしてのMT、という位置づけに見えてしまうのです。
じゃあ、その「ソーシャルメディア」ってなによ、という話になるのですが、これはまた次回以降に。
※上記の記事は個人の推測に基づく、床屋談義の域を出ないものです。シックスアパートには何の関係もありません。

僕も似たようなコトを感じていましたので、反射的にコメント。いつぐらいからだったか、ブログをよく読ませていただいております。確かにいわれてみれば米国法人と日本法人の方向性の違いがあるのかもしれないとの視点を気付かせてくれてありがとうございます。
以下、ブログ本文と論点がずれるかもしれませんが、僕の思ってたことを勝手に書かせていただきます。って、人のコメント欄ですみません。
少し前はVox、最近はタイプパッドコネクトとかやり始めていますが、もう、GoogleとかFacebookとか、twitterとかmixiとか、その辺使ってないからよくわかりませんが、端から見てても、色々あるのに、それに加えて、ソーシャル系をそれほどがんばらなくていいじゃんという気がしていました。レッドオーシャン戦略ぽくて。そこまでSixApartにソーシャルな面でアドバンテージがあると思えませんし。
タイプパッドコネクトとか、レイオフとかしてるのだったら、そのリソースをMTの開発に集中して、他が追いつけないほどの地位にまで持っていってほしくて。もうすでにMTのアドバンテージはありますが、ユーザーとして個人の次に一番ボリュームの多い中小企業ではWP2.7でも大丈夫そうな気がしないでもないので、今の状態は安泰とは言えなさそうな気がしないでもありません。
MTはかなり大規模な規模のCMSとして使えるし、MTのWPに対してのアドバンテージはそこにあると思います。で、もちろんSA社もそれを分かってるからこそ、大企業向けに?高価なCMSソリューションを出しているのだと思います。
しかし、CMSとしてここまで台頭したのは低価格だったからだと思います。それゆえコアなコミュニティができて盛り上がってきたのだと思います。そう考えると価格設定がちょっとどうかと思う。小さな機能を盛りだくさんにして、パッケージで高価にするのではなく、そうした機能の追加はコミュニティに任せたほうが動きが活発になるし、ユーザーも必要な機能を選べるようになります。で、SAはもっとコアの開発を進めてほしいです。
もちろんMTは進化してるし、特に最近のMT4.2は3.x時代に比べてめちゃくちゃ進化してるのでとてもありがたいと思っていますが、僕のなかでは、いまのMTに加えて、RDBMSの機能をつけたら多分Webアプリケーションフレームワークの最終決定版になるのではないかと思っています。ブログを1つのテーブルとみなし、ブログのカスタムフィールド同士をリレーションできるようにするのです。そうするとWebアプリの枠を超えて、格段と用途が広がります。SA本体の開発部隊はそこまで他に目もくれずに進んでほしいのです。そこまでできたら、バージョンを枝分けして、フル機能のほうは、今よりも価格は高くても受け入れられるかもしれません。
なんて偉そうに、まったく僕個人の妄想なのですが(><;)
yasuoogleさん
はじめまして、にっくといいます。宜しくお願いいたします。
駄文にお付き合いいただき恐縮ですw
僕もyasuoogleさんと同じようなことを考えてました。
「ソーシャルにリソースを持っていって、googleのfriend connectやfriend feed、あるいはFaceBook・mixi・MySPACEあたりと勝負になるのかいな」
見たいな事です。
次回、次々回書こうと思っていたことは、だいたいyasuoogleさんのコメントどおりですw
今のところ
・日本語の情報量
・操作可能な人材の数(MTをインストールできる、テンプレート変えれる)
では他を圧倒しているので、ブログもしくはCMSのシステムとして、完成度を徹底的に突き詰めたほうが良いんじゃないかなー、と野次馬的に思います。
CMSやブログシステムのシェアって、このご時勢あっという間に変わってしまうので、(数年前は「CMSといえばXoops」みたいなイメージがあったけど、数年間のうちにずいぶん趨勢が変わっている例もあり)言語障壁による優位点はそんなに長く続かないんじゃないか、と。
JoomlaやDrupalが、MTと同レベルの日本語情報量を持ったとき---インストールとか構築のノウハウとか、Tipsとか---MTの優位点は余りなくなるんじゃないかな、と。