溜池通信と「ブロガーではないアルファブロガー」

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驚異の個人誌「溜池通信」

溜池通信をご存知ですか?

溜池通信とは、(株)双日総合研究所の副所長、吉崎達彦さんが毎週pdfで発行している、政治・経済とアメリカ情勢の分析誌です。

難解な語り口は使わず、万人が読みやすい口調・用語で書かれており、面白く読んでいるうちに経済情勢や日米関係を初めとする国際情勢が頭に入ってきます。

5-6年ほど前にその存在に気づき、それ以来、毎日のように欠かさず見ているサイトの一つです。

溜池通信には「かんべえの不規則発言」という、日記のようなコーナーがあります。不規則と言いながらほぼ毎日更新されておりまして、ほぼ日刊と言いながら毎日何らかの情報発信がなされている「ほぼ日刊イトイ新聞」と同様です。

溜池通信の本誌面は、この「かんべえの不規則発言」を再編集する形を取っています。ご本人曰く「溜池通信はありあわせの材料で手間をかけずに作っている」そうです。

紙面には、吉崎氏が属する「双日総合研究所」の社名は一応記載されているのですが、あとがきにはっきりと

「本レポートの内容は担当者個人の見解に基づいており、双日株式会社および株式会社双日総合研究所の見解を示すものではありません。」

と記載されています。これだけのレベルの情報誌を、個人のレベルでほぼ毎週、10年に渡って刊行し続けている媒体は、寡聞にして他に聞いたことがありません。せいぜい田中宇さんの「田中宇のニュース解説」ぐらいではないでしょうか。

 

システムは使っていないが、さまざまなコミュニケーションが生まれている

「かんべえの不規則発言」は、拝見したところ、ほぼ手作業に近いようで、いわゆるブログなどのCMS的なシステムは使っていないようです。ご本人の記述の中でも、数年前の記事中に「あえてブログシステムは使っていない」と書かれていました。1990年代から慣れ親しんだリズムを、あえて変える事もない、と考えたのでしょう。

ブログではないにもかかわらず、この紙面上ではしばしば他のブロガーたちとのやり取りや情報交換が行われており、2007年度にアルファブロガーに選出された「債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」をはじめ、経済界、政治界のブロガーたちとオンライン、オフラインで意見を交わし、独特の議論交換が行われています。

これらは、ブログのトラックバックやコメントによる議論交換となんら変わることがありません。これもまた、見ていて興味深い話題の一つとなっています。

5人でも影響を与えれば、アルファブロガー

さて、今年も「アルファブロガー」の選出時期となりましたが、溜池通信の「かんべえの不規則発言」は一度も候補に挙がったことがありません。

ご本人もブログシステムの利用は考えていない、と言及しておられますし、そういう意味では吉崎さんを「ブロガー」と呼ぶのは違和感があるかもしれません。

が、ブログの定義を「ウェブログ=自己の意見や活動をウェブ上に記録していくこと」であり、アルファブロガーが「議題設定能力に優れ、深い洞察や興味深い視点の記述に長けた人物」ということであれば、吉崎さんは間違いなくアルファブロガーのリストに入っておかしくない気がします。

Wikipediaの「アルファブロガー」の項には「5人でも影響を与えれば、アルファブロガー」と書かれていますが、おそらくそのとおりであって、ブロゴスフィアで言われる「アルファブロガー」はある意味象徴的、シンボル的なものなのでしょう。おそらくそれは「MTやWPを使って日記や記事を書く人」である必要はない。

「自分が考えたこともなかった問題設定」「思わず目からうろこが落ちるような洞察」を持つ人々は沢山いて、そういう人たちとのめぐり合いは、ブログに限らず、ウェブサイトや掲示板、あるいはmixiの中にも沢山あるよなぁ、そういう邂逅というものは、ある意味自分の宝だな・・・と、ふと思いました。

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