長谷川義史の絵本には、家族のおかしさと暖かさが詰まっている
僕は2児の父親です。よく寝るときに、絵本を読んで聞かせます。
最近、子供も僕も大ファンになったのが、長谷川義史さんの絵本です。
最初に読んだのは「いっきょくいきまーす」でした。
いっきょく いきまぁす (PHPわたしのえほん)
長谷川 義史
ストーリーはあってないようなもの。とにかくパワフルで圧倒的な迫力の絵が見開きいっぱいに広がります。最初見たときの衝撃は忘れられません。「なんなんだ、この人の絵は」と思ったのですが、なぜか憎めない。
その後も
おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん
長谷川 義史
うえへまいりまぁす (PHPわたしのえほんシリーズ)
長谷川 義史
おたんじょうびのひ
中川 ひろたか
などなど、子供と一緒に読んでは、「わははは」と笑っておりました。お世辞にもきれいな絵とは思えない、だけど、なぜかひきつけられてしまう。
僕は、なんで長谷川義史さんの絵本に、こんなに惹きつけられるのか、自分でも理由が分かりませんでした。
そして、ちょうど2人目の子供が生まれる直前、「おへそのあな」という絵本を手にして読んだのです。
おへそのあな
長谷川 義史

これから生まれてくる赤ん坊が、お父さんやお母さん、おじいさんおばあさん、そしておにいちゃんなど、みんなの声を聞き、みんなの様子を見るお話です。
この本を読んだとき、思わず涙が出てとまりませんでした。同時に、なぜ自分がこんなにも長谷川絵本の世界に引き込まれるのか、理由が分かったのです。
家族の姿が常にそこにある
「おへそのあな」に描かれている世界は、これから生を受ける新しい命に対する無償の慈しみを与える家族の姿であり、家族の一員になる赤ん坊を、心をひとつにして待っているやさしい人たちのお話なのです。
そう、長谷川義史さんの絵本には、常に家族が描かれていたのです。
「いっきょくいきまーす」で感じた荒唐無稽さの中には、家族のたわいもないことに夢中になっている一瞬が切り取られています。
「おじいちゃんのおじいちゃんの・・・」には、子供が自然に感じる、自分のルーツへの好奇心と、血の流れが織り成す不思議な営みが凝縮されています。
昨今は、出産直後の胎児を放棄や、育児放棄をする母親の話など、暗いニュースが多く報道されています。そして、不景気だからか、将来を危ぶむような声があふれています。
だからこそ、長谷川さんが描く、ユーモラスでありながら憎めない、等身大の家族の姿に、僕たちは癒され、惹きつけられるのです。
「おへそのあな」の感想が、アマゾンや「絵本ナビ」に書かれていますが、絶賛の声であふれています。
アマゾンにいたっては、新刊の値段よりも中古本の方に高値がついています。すでに絶版なのでしょうか?「中古でも良いからこの絵本を買い求めたい」という人がいかに多いかを物語っています。それだけ、この絵本の魅力に惹きつけられた人が多いのでしょう。
長谷川義史さんの描く家族は、決して絵に描いたような美しい家族ではありません。喧嘩もするし、大人は見栄を張ることもあるし、子供はわがまま。
でも、その姿は、愛情に包まれた、等身大の家族そのものの姿なのです。
長谷川義史さんの絵本には、家族という、時におかしく、うっとうしく、そしてこれ以上ない安らぎと愛情が詰まった場所が、優しく描かれているのです。
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